
ファンマーケティング時代のブランドづくり|“好き”が企業価値になる
1.消費の変化と“好き”の重要性
近年、消費は単に「モノを買う」ことから、自分の”好き”というマインドを表現する行為へと変化しています。
かつては、製品の機能や価格、品質の高さといった「モノの価値」が購買を左右していました。しかし、時代が進むにつれ、モノよりも体験や共感を重視する傾向が強まっています。それにより、消費は「コト消費」「トキ消費」、そして「推し活」へと進化しています。
例えばライブに行く、ブランドの世界観を体験する、SNSで推しブランドの情報を共有するなどの行動は、単なる購買ではなく、ブランドへの感情的なつながりに基づくものです。つまり、「このブランドが好き」「この世界観に共感できる」という感情が、購入理由の中心になっています。
このような時代において、企業が競争優位を築くカギは「どれだけ『好き』と思われるか」にあります。本記事では、「ファンマーケティング」の視点から、企業がどのように「好き」を育て、ブランド価値に変えていくかをひも解きます。

2.消費の進化:モノ消費→コト消費→トキ消費→“推し活”
ファンマーケティングを理解する前に、この章では消費の価値基準がモノからコト、トキ、そして“推し活”へと進化してきた流れを整理しておきましょう。
■モノ消費:機能と価格の時代
高度経済成長期や大量生産時代には、商品そのもののスペックや価格が購買判断の軸でした。「より安く」「より良いモノ」が選ばれる、そんな時代です。
■コト消費:体験価値の時代
次に訪れたのが、サービスや体験に価値を求める「コト消費」です。旅行、ワークショップ、体験型イベントなど、「どんな体験を得られるか」が消費の決め手となりました。
■トキ消費:感情・記憶の時代
さらに進化したのが「トキ消費」。消費者は体験の内容そのものだけでなく、その瞬間に得た感情や記憶を重視するようになりました。
■推し活:共感と自己表現の時代
そして今、私たちは「推し活」の時代を生きています。推し活とは、単なる応援活動ではなく、「自分の価値観を投影できる対象」への共感行動です。
一般的に、推し活というとその対象はアイドルや俳優などを思い浮かべますが、ブランドでも同じことです。自分の世界観と響き合う存在を応援し、発信することが喜びになります。
この「推し活」こそ、ファンマーケティングの本質です。企業が消費者にとっての“推し”となることで、単なる購入者ではなく、ブランドを語り、広めてくれる熱量のあるファンが生まれます。
3.ファンマーケティングとブランドの“好き”の関係
ファンマーケティングとは、「売る」ための施策ではなく「愛される」ための戦略です。ブランドを”好き”と思ってもらうためには、以下の3つの要素が欠かせません。
理念・世界観の明確化
何を大切にしているブランドなのか。どんな社会を目指しているのか。理念が一貫していればいるほど、共感が生まれ、ファンはその世界観に参加したくなります。
ブランドの理念や世界観は、キャッチコピーという形で表れることが多くあります。
例えば、ユニクロの「LifeWear — あらゆる人の生活を、より豊かにする服」日本製紙グループの「Our Belief For a Better Life」などを見れば、各ブランドがどのような理念を持ち、何を実現したいと考えているのかが分かります。
体験価値の提供
商品そのものだけでなく、購入・利用・共有といった一連のプロセスを通じて、感情的な価値を提供することが重要です。「使ってよかった」だけでなく、「このブランドの考え方が好き」と思える体験設計が求められます。
共感コミュニケーション
SNSでの発信やイベントなど、双方向の関係づくりも欠かせません。企業がファンの声に耳を傾け、その意見を行動に反映することで、信頼と親近感が育ちます。
このような要素を含んだ施策を実施し続け、顧客の中に“好き”の感情が積み重なることで、単発の購入から長期的なファン化へと進化していくのです。
4.ブランドとファンの共創の重要性
ファンマーケティングにおけるもう一つの重要なキーワードが「共創」です。共創とは、企業とファンが一緒にブランド価値を創り上げることです。たとえば、以下のような取り組みを指します。
SNSでのアイデア募集やファン参加型の企画
ファンの声を商品開発やサービス改善に反映
ファンコミュニティを通じてブランドストーリーを発信
これらは企業の一方的な発信ではなく、ファンの共感や創造力を活かすプロセスです。共創には3つの大きなメリットがあります。
1. 熱量の高いファンを生み出せる
自分が関わったブランドは、自然と応援したくなるもの。ファンがアンバサダーとして拡散してくれます。
2. 市場のリアルな声を早期にキャッチできる
SNSやコミュニティを通じた共創は、消費者インサイトを直接得られる貴重な場になります。
3. 企業の意思決定に消費者視点を組み込める
共創によって、マーケティングや商品開発が「生活者発想」になり、ブランドの信頼性が高まります。
ファンマーケティングにおいて、共創は“施策”ではなく、ブランド成長の核心戦略なのです。
5.“好き”を育てる具体的戦略
では、実際にどのように“好き”を育てていけばいいのでしょうか。以下の4つのステップが有効です。
▶︎ストーリーで共感を生む
ブランドの成り立ちや理念、創業者の想いなど、「背景にあるストーリー」を伝えましょう。共感は理屈ではなく、感情から生まれます。ストーリーテリングによって、「このブランドの考え方が好き」という感情を引き出せます。
▶︎経験価値を設計する
購入や利用のプロセスそのものを特別な体験に変えることが重要です。例えば、ユーザー限定イベントやオンラインコミュニティなど、参加する喜びを提供する仕組みが効果的です。
▶︎継続的な関係性を重視する
ファンマーケティングは一度きりのキャンペーンではなく、「継続的な信頼構築のプロセス」です。定期的な情報発信や、ファンの声を反映した改善を行うことで、「このブランドは自分を見てくれている」と感じてもらえます。
▶︎データと感情の両輪で育てる
購買データやアンケート結果だけでなく、SNSでの感情的な反応にも注目しましょう。「どんな投稿に心が動いたのか」「どの瞬間に共感が生まれたのか」を分析することで、感情価値を継続的に育てることができます。

6.まとめ:ファンマーケティング時代のブランド価値とは
モノ消費から推し活まで消費の進化をたどると、現代のブランド価値は、顧客にどれだけ「好き」を積み上げられるかで決まることが分かります。ファンマーケティングは、共感の育成・体験設計・ファンとの共創を通じて、企業の感情価値を高める経営戦略です。
共感を育て、体験を設計し、ファンと共創する。その積み重ねこそが、長期的な成長とファンの拡散力を生みます。小さなブランドでも、ファンとの関係構築を意識すれば独自の強みが生まれ、長期的な成長につながります。
「ファンをつくる」ことは、「ブランドの未来をともにつくる」ことです。これからの時代、“好き”を育てる企業こそが、最も強いブランドとなるのです。
トレンド・プロでは、マンガを起点として企業のファンマーケティングをご支援しています。マンガやイラストといったビジュアルコンテンツを活用することで、ユニークなコンテンツになることはもちろんのこと、より感情に訴える形で伝えることができるようになり、顧客のファン化が期待できます。
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