
インナーブランディング×採用力強化|“理念に共感する人材”を惹きつける仕組み
近年、多くの企業が採用活動において共通の課題に直面しています。それは「スキルは十分だが、自社の理念や文化に共感してくれる人材となかなか出会えない」というものです。採用に成功したとしても、入社後に価値観のミスマッチが起き、早期離職やパフォーマンス低下につながってしまうケースも少なくありません。結果として、採用コスト・時間・組織力の面で大きな損失を生むことになります。
こうした背景から、いま注目を集めているのがインナーブランディングです。従来は「社内向けの理念浸透施策」という位置づけが強かったものの、近年では採用力を左右する戦略的取り組みとして、大企業からスタートアップまで幅広く導入が進んでいます。
本記事では、インナーブランディングが採用にどう直結するのか、実践施策・成功のポイントまでわかりやすく解説していきます。
1. インナーブランディングとは
インナーブランディングとは、企業理念・ビジョン・価値観を社員一人ひとりの行動レベルまで浸透させる取り組みです。単に理念を掲げたり共有したりするだけでなく、「日々の意思決定や行動の基準として活用できる状態」をつくることが本質です。
インナーブランディングの目的は大きく以下の3つに整理できます。
社員の企業理念・ビジョンへの共感を高める
組織としての一体感・エンゲージメントを向上させる
事業の成長に必要な行動変容を促す
そしてもう一つ、重要な役割があります。それが 「採用の基盤づくり」です。
企業理念が社員に浸透している組織は、採用の現場で強い武器を持ちます。なぜなら、企業理念に共感し、その企業理念が浸透している企業に自ら望んで入社する人材ほど定着・活躍する確率が高いからです。
2. 企業理念浸透が採用力を強化する理由

それでは、インナーブランディングにより企業理念が浸透することが採用力強化につながる理由を確認しておきましょう。
2-1. ミスマッチ採用の防止
企業理念に共感して入社した人材は、会社との価値観のズレが小さく、早期離職のリスクが低い傾向があります。「なぜこの企業で働きたいのか」という動機が明確なほど、困難な状況でも粘り強く仕事に向き合いやすくなります。
2-2. 定着率・活躍度の向上
企業理念やビジョンを自分ごととして捉えている社員は、自律的に動き、成長するスピードが速いと言われています。採用の観点でも「入社後にどれだけ活躍できるか」は重要な指標であり、企業理念への共感はその大きなドライバーとなります。
2-3. 企業文化の可視化
候補者視点では、働く環境や価値観が明確な企業ほど選びやすいものです。企業理念が行動レベルに落ちている会社は、「社員がどんな意思決定をし、どんな働き方をしているのか」を候補者に伝えやすく、応募の質を高められます。
2-4.社員が「ブランドアンバサダー化」する
インナーブランディングが機能している企業では、社員自身が自発的に企業の企業理念や魅力を発信してくれます。SNS、採用イベント、口コミ、紹介採用など、社員が自然とアンバサダーとなることで、採用広報の説得力は格段に増します。
3. インナーブランディングを活用した採用施策例
ここでは、多くの企業で成果が出ている代表的な施策を紹介します。
社員インタビュー・ストーリー発信

社員インタビュー・ストーリーは多くの企業の採用コンテンツで発信されています。 ここで重要なのは、単なる「キャリア紹介」「優秀な社員紹介」ではなく、企業理念に沿った行動や挑戦のストーリーを紹介することです。
例えば、以下のような内容がふさわしいでしょう。
どの価値観を大切にし、どんな意思決定をしたか
企業理念が仕事のモチベーションにつながった瞬間
困難を乗り越えた背景にある価値観
これらを盛り込むことで、コンテンツに触れた応募者に「自分もこのチームで働いてみたい」と感じてもらいやすくなります。
この好例といえる株式会社LIFULLは採用・広報領域で「社員インタビュー・ストーリー発信」を明確に行っており、採用広報業務で「社員にインタビューしたりアンケートとった内容をストーリーを使って会社の魅力として発信」しています。 また、「社員紹介 – 採用サイト」にも多数のインタビューが掲載されています。
インナーブランディング・社内広報の視点からも、「トップダウンとボトムアップで作る、日本一働きたい会社」という講演を行っています。
入社前体験プログラム(オンボーディング前)

最近増えているのが、入社前に会社の価値観を体感してもらう取り組みです。 例えば、以下のような内容が挙げられます。
企業理念に沿った意思決定のワークショップ
ケーススタディ型のプロジェクト体験
1on1セッションでの価値観共有
企業理念に共感できる人材を自然にフィルタリングしながら、入社後のスタートダッシュにもつながります。
その例として、エイベックス株式会社はインターンシップとして「受講生が興味ある部署とマッチングし、入社前から職業体験の機会を提供するプログラム」を実施しており、採用広報・ブランディングとして活用されています。
社内イベントによる文化醸成と外部発信

これは、応募者を対象にするというよりは、既存の社員を対象としたものです。社内の企業理念浸透施策と採用を同時に強化する方法です。
- 企業理念をテーマにした勉強会
- 社員表彰イベント
バリュー体現の共有会
その様子を採用候補者向けに発信することで、「企業理念が生きている会社」であることを明確に示せます。
例えば、株式会社サイバーエージェントは部署表彰、エンジニア・クリエイター表彰、カンファレンス、勉強会などの社内イベントを頻繁に実施し、その様子を発信しています。
また会社広報からの発信だけではなく、実際に働く社員がSNSなどでイベントの様子や普段の働きぶりなどを発信することで 、候補者は「どんな人と働くのか」「どんな環境で働くのか」をイメージしやすくなっています。結果として、同社の社風やカルチャーに共感する応募者が増え、採用後の定着につながっています。
4. インナーブランディング成功のポイント
施策を形だけ導入してもうまくいきません。成果を出している企業には次の共通点があります。
経営陣・管理職が自ら企業理念を体現している
企業理念を行動に翻訳するツールや仕組みがある(漫画・動画・行動基準・行動指針カードなど)
社員が主体的に意見を出せる双方向の仕組みがある
評価制度・KPI・育成体系と企業理念が連動している
最も大事なのは、「企業理念を“伝えるもの”ではなく“使うもの”にすること」です。これが採用にも組織運営にも強く影響します。

インナーブランディングは社内施策ではなく、「採用力を強化するための戦略」です。
採用市場での競争が激しくなるなかで、候補者に選ばれる企業になるためには、求人広告や条件面だけでは差別化できません。理念に共感する人材を惹きつけることで、組織の定着率やパフォーマンスの向上が期待できます。
これからの採用の主戦場は「企業理念・ビジョンへの共感をいかに生むか」。その鍵を握るのがインナーブランディングです。まだ取り入れていない企業は、採用戦略の中心としてぜひ検討してみてください。
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