
インナーブランディング成功企業10選|社員の共感を生んだ施策をご紹介
1. 社員の共感が組織の力になる時代
多くの企業が、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)や行動指針を掲げています。しかし現場では、「言葉は知っているが、日々の仕事と結びついていない」「掲示されているだけで、行動に反映されていない」といった声も少なくありません。
いま、企業の競争力を左右するのは、戦略やプロダクトだけではありません。重要なことは「社員一人ひとりがどれだけ企業理念に共感し、その企業理念を体現するような行動を自発的に行っているか」です。社員が企業理念を理解し、共感を持って行動できている組織は、意思決定のスピードが速く、顧客体験の質も高まり、結果としてブランド力の向上につながります。
そこで重要になるのがインナーブランディングです。単に企業理念を説明したりスローガンを共有・掲示するだけではなく、社員の感情に届き、「自分ごと」として腹落ちさせる施策が求められています。
本記事では、インナーブランディングに成功した企業事例を紹介しながら、社員の共感を生むための具体的な考え方と実践ポイントを解説します。
2. インナーブランディングのポイント
まずは、インナーブランディングに関する基礎的な知識を確認しておきましょう。
2-1. インナーブランディングとは何か
インナーブランディングとは、企業理念やブランド価値を社員に浸透させ、共感を通じて自発的な行動を促す仕組みづくりを指します。トップダウンで「守らせる」「行わせる」ものではなく、社員自身が「この会社らしい行動とは何か」を考え、行動を選択できる状態をつくることがゴールです。
2-2. 期待できる効果
インナーブランディングが機能すると、以下のような効果が期待できます。
社員エンゲージメントの向上
離職率の低下・定着率の改善
組織文化の一体感醸成
採用ブランディングの強化
特に近年は、「企業理念に共感できるか」が就職・転職の理由になるケースも増えています。例えば、採用プラットフォーム「BaseMe(ベースミー)」を運営する株式会社ベースミーが学生を対象として実施したアンケートによると、仕事・企業で最重視することとして「会社のビジョンやミッションへの共感」が最も多く挙げられました。また、株式会社ワークポートが社会人を対象として実施したアンケートによると、転職時に経営理念を重視する人は70.2%にものぼります。
2-3. 成功の条件
インナーブランディング施策に成功している企業に共通するポイントは、次の3つです。
企業理念や価値観の「物語化」
参加型・体験型の施策設計
双方向コミュニケーションの仕組み
これらを踏まえた企業事例を、次章で具体的に見ていきましょう。
3. 成功企業10選:施策別に学ぶ共感形成
この章では、インナーブランディングに関する施策を実施し 成功している企業の例を紹介します。
3-1. 株式会社古窯ホールディングス(観光業)

2018年のホールディングス化に伴い、ミッション・ビジョン、クレド、事業計画、日々の行動計画を再定義。これらを社内に浸透させるための社員研修を実施したことで、社員からミッション・ビジョンに合致したアイデアが出るようになったなどの成果をあげています。
3-2. 合資会社古屋旅館(観光業)

2021年から取材依頼を期待してプレスリリースを強化しています。特に、DX化や温泉熱活用への取り組みを開始したことを伝えたリリースは、老舗旅館と最新技術というギャップも相まって話題となりました。リリースがメディアに取り上げられたことで、新卒採用への応募者が増えるというポジティブな効果がありました。
3-3. 株式会社TOKINECT(クリエイティブ)

社員同士の繋がりを深め、社員の家族に会社の良さを知ってもらうことを目的として社内報を発行。最新号(2025年3月号)は総制作費400万円・全198ページのボリュームに。社員の思いや技術力などを発信しています。社内報は社内外部向けのブランディングツールとしても使われ、同社の社内報作成事業にも繋がっています。
3-4. 株式会社ラキール(ITサービス)

2025年3月に、社員の共通理解と当事者意識の強化を目的として、社員約400名を集めた全社集会「Lighthouse Meeting 2025」を実施。会では事業戦略の発表や優秀社員表彰などを実施しました。参加した社員からは「参加意識が高まった」「若手でも活躍すれば称賛してもらえることが分かった」などの前向きな声が寄せられ、エンゲージメントやモチベーション向上に繋がっています。
3-5. 本多通信工業株式会社(製造業)

労働組合結成50周年を機に、社員と家族を招いた船上パーティー(家族参加型社内イベント)を実施しました。 ただイベントを楽しんでもらうだけではなく、例えばクイズ大会を行うなど、会社への理解を深めてもらう機会を作りました。参加した家族から「いい会社だね」という声が上がり、社内コミュニケーション活性化・企業イメージ向上に寄与しています。
3-6. 株式会社柳澤鉄工所(製造業)

秋田県の支援プログラムを通じて社内意識の向上委員会を設置し、社員ヒアリング・社内アンケート・メール環境整備・インターン導入準備など、インナーブランディングを段階的に実施。その結果として、採用PRや求人票改善、プレインターン実施による求人訴求力向上など、具体的な採用力改善の初動が報告されています。
3-7. 八興販売株式会社(製造加工業)

2023年にロゴ・名刺のリニューアルを行った際 、社員にヒアリングを実施。そこで聞いた社員のホース加工に対する熱い思いを体現する「曲げることに、まっすぐです。」のキャッチコピーのもと、角を丸めた名刺や会社案内を制作。一貫したデザインにすることにより、営業社員が自社サービスの説明がしやすくなり、新規案件の受注にも繋がっています。
3-8. 山陽バス株式会社(運送業)

運転士の求人広告を、サービスエリアの各20カ所設置されている給茶機の紙コップの形で設置。紙コップには、現役運転手の似顔絵や生の声を印刷することで、社風や働き方のイメージがしやすくなっています。紙コップを設置したことで、社員やOB、その家族までもが話題にしていたという声があり、話題づくりに成功しているといえるでしょう。
3-9. 小野薬品工業株式会社(製薬業)

人財育成の一環として社内ビジネスコンテスト「HOPE」を開始。結果として、83件の応募から3件の事業化検討テーマが生まれました。
成功の背景には、社員の不安を解消するトップのメッセージ発信や、熱意を重視した審査基準、リアルな相談会や学習支援による意識醸成があります。社内文化を熟知したメンバーが事務局に加わることで、より社員に寄り添った運営ができました。
3-10. ぺんてる株式会社(製造業)

社員の創造力を引き出すためのイベント「PENTEL RAKUGAKI WEEK」の盛り上がりを社外の方にも伝わる形でキャンペーンページとして残したいとの思いから、 特設サイトを制作。内輪感を排し、初見でも楽しめるゲーム型キャンペーンページを公開しました。
4. 共通点と成功の秘訣
インナーブランディング施策に成功している企業に共通するポイントは明確です。
企業理念や価値観をストーリーとして語っている
研修やワークショップなど、体験・参加型施策を取り入れている
社員の声を吸い上げる双方向コミュニケーションを重視している
一度で終わらせず、定期的な振り返りと改善を行っている
これらを組み合わせることで、企業理念は「知っている言葉」から「判断基準」へと変わり、社員の自発的な行動につながっていきます。
5. まとめ:社員の共感こそがインナーブランディング成功の鍵
インナーブランディングの本質は、企業理念や価値観を伝えること自体ではありません。社員がそれを自分ごととして共感し、日々の行動に落とし込めるかにあります。
企業理念を押し付けるのではなく、物語として伝え、体験させ、対話を重ねる。その積み重ねが、組織文化を育て、企業の競争力を内側から強くしていきます。
自社のインナーブランディングを見直す際は、「社員はこの企業理念に共感できているか」「行動につながる設計になっているか」という視点から、ぜひ施策を再設計してみてください。社員の共感こそが、インナーブランディング成功への最短ルートです。
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