
社員が“自分ごと化“する組織へ|インナーブランディング成功企業に学ぶ共感づくり
1. 社員が企業理念を“自分ごと化”することの重要性
多くの企業で、企業理念やビジョンはオフィスの壁や社内サイトに掲げられているでしょう。しかし、その言葉がどれだけ魅力的でも社員が「自分ごと」として捉えられていないのであれば、実際の行動にはつながらず、企業理念は実現されることはありません。
「自社の企業理念は、正直よく覚えていない」「言葉としては知っているけれど、仕事にどう関係するのかわからない」。そんな声が現場から聞こえてくる企業は少なくありません。企業理念が浸透しなければ、社員の意思決定や日々の行動にバラつきが生まれてしまい、結果として顧客体験やブランドの一貫性にも悪影響をおよぼします。
このような課題を解決する鍵として注目されているのが、「インナーブランディング」です。インナーブランディングは単に企業理念を伝えるだけではなく、「企業理念が自分の仕事にどう関係するのか」「なぜその企業理念が必要なのか」を理解し、共感し、行動へつなげる仕組みをつくる取り組みです。
本記事では、インナーブランディングの基本から、成功企業が実践している共感を生む仕組みづくりまでを解説します。
2. インナーブランディングとは何か
インナーブランディングとは、企業理念・ブランド価値を社員に浸透させ、行動として体現される状態をつくる取り組みを指します。社外に対するブランド発信が「外向き」であるのに対し、インナーブランディングは自社の社員に向けた「内向きのブランドづくり」です。
インナーブランディングが生む効果としては、主に以下のものが挙げられます。
共感形成:企業理念の意味・背景を理解し、納得した上で行動に移せる
エンゲージメント向上:企業理念と自分の価値観が重なると、仕事のモチベーションが高まる
採用・定着への好影響:カルチャーが明確で社員が生き生き働く会社には、共感人材が集まりやすい
特にZ世代を中心に、価値観が多様化する現代においては、「共感」「納得」が行動の起点になりやすい傾向があります。だからこそ、中長期的に企業を支える強い組織をつくるうえで、インナーブランディングの重要性はますます高まっています。
3. 社員が“自分ごと化”するインナーブランディングの条件
社員に企業理念を「覚えさせる」のではなく、社員が企業理念を「自分の言葉で語れる」状態を形成するためには、次のポイントが不可欠です。
3-1. 企業理念の物語化:ストーリーで伝える
企業理念は抽象的な概念であるため、ただ掲げただけでは伝わりません。
創業者が何を思い、どんな課題を解決しようとしたのか
社会や顧客にどんな価値を提供したいのか
どんな出来事が企業理念の背景にあったのか
このようなストーリーを言語化し、社員が「なるほど、だからこの企業理念なんだ」と腑に落ちるようにすることが重要です。
3-2. 体験・参加型施策:企業理念を自分の仕事に結びつける
社員が主体的に考える場をつくることで、企業理念が行動に落ちていきます。
企業理念をテーマにしたワークショップ
自分の業務と企業理念の接点を見つける研修
部署横断の対話型プログラム
このような取り組みに社員が参加することで、企業理念が実感として残ります。
3-3. 双方向コミュニケーション:意見が循環する仕組み
企業理念の浸透は一方的に伝えて終わりではありません。社員の声を拾い、経営層にもフィードバックできる仕組みを整えることで、企業理念が形式的なものではなく“生きた指針”になります。
3-4.可視化ツールの活用:マンガ・動画で直感的に理解
文字だけでは伝わりづらい企業理念も、マンガや動画を使えば、ストーリー性と感情を乗せてわかりやすく伝えられます。特に若い世代は視覚的コンテンツとの親和性が高く、共感形成に効果的です。
さらに重要なのは、企業理念を押し付けるのではなく、社員が主体的に関わりたくなる仕掛けを用意すること。これこそが、自分ごと化を生む鍵です。
4. マンガ×インナーブランディング成功事例
【マンガ制作例①】理念をマンガに変換し、「自分ごと化」を促進!
クライアント:出光興産株式会社様

■お客様の課題・要望
2019年の経営統合を機に、全社員が同じ方向性を向くために生まれた新たな理念、「真に働く」。社内での企業理念の認知率は一貫して90%を超えていますが、自分のものとして共感し実践することに関しては不十分だという課題がありました。
■マンガ制作概要
そこで、理念を自分ごととして捉えてもらい、実践してもらうために「理念は会社のためだけのものではなく、社員一人ひとりのためのもの」というメッセージを発信すべく、マンガコンテンツを作成。イントラネットで連載形式にして発信しました。
■マンガ制作後の結果
グループ報のコンテンツの中でもトップクラスで閲覧されており、コメント欄では理念に対する解釈や、マンガの内容についての感想など、さまざまな議論が活発に交わされています。
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【マンガ制作例②】マンガで伝える働き方・働きがい改革
クライアント:清水建設株式会社様

■マンガ制作概要
清水建設は「働きがいと魅力あふれる職場づくり」をスローガンに掲げ、従業員間のコミュニケーション促進や働きがいの向上に向けた取り組みを進めています。しかし、「対話の目的が不明確」「実施方法がわからない」などの声が多く寄せられました。この課題を解決するために、従業員が取り組みを「自分事」として捉えられる情報発信が必要に。その手段として、忙しい業務の合間でも手に取りやすく、短時間で直感的に内容を理解できるマンガを導入いただきました。
■マンガ制作後の結果
マンガを全従業員に配布したところ、その後に実施したアンケートでは9割の従業員が「読んだ」と回答しました。
感想としては、「短時間で内容を理解できる」「実務に近く、すぐに役立てられる」といった肯定的な意見が多く寄せられました。また、他部署から「同様のマンガを制作したい」という声も寄せられ、マンガというツールへの関心の高さを実感いただきました。
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5. インナーブランディング成功の共通ポイント
これまでに解説したポイントを振り返り、成功企業を比較すると、共通するポイントが明確に存在することが分かります。
5-1.「物語化」「参加」「対話」の三位一体
企業理念が誕生した背景を、ただストーリーとして伝えるだけでは十分とはいえません。以下の3つがそろって初めて、企業理念が社員の中で血肉となるのです。
物語化(企業理念を“理解”する)
参加型施策(企業理念を“体験”する)
双方向コミュニケーション(企業理念を“更新”する)
5-2. 抽象的な企業理念を“見える化“するツール
マンガ・動画といったビジュアルを伴うツールは、そこで表されている内容に感情を乗せ、理解を加速させる効果があります。この現象は「マルチメディア学習の原理」と呼ばれ、教育など様々な分野で活用されています。
「企業理念が腑に落ちた」「共感できた」と社員が感じた瞬間の背後には、必ずと言っていいほど「わかりやすさ」が存在しています。
5-3. 継続的な施策と振り返り
インナーブランディングは一度やって終わりではありません。このループを回し続けることが大切です。

5-4. トップから現場まで一貫したコミット
経営層だけが盛り上がっても現場は動きませんし、その逆も同じです。成功企業は例外なく、トップが企業理念の旗を掲げ続け、現場が主体的に動ける環境が整っているという共通点があります。
6. まとめ:社員が“自分ごと化”する組織づくりへ
インナーブランディングの本質は、社員に企業理念を「覚えさせる」ことではありません。
企業理念に共感し、自分の言葉で語り、自発的に行動を選び取れる状態をつくることです。
成功している企業は、以下の4点を組み合わせながら、企業理念を自分ごと化する仕組みをデザインしています。
企業理念の物語化
体験・参加型施策
可視化ツールの活用
双方向のコミュニケーション
特にマンガや動画などの表現方法は、企業理念を直感的に伝え、社員の感情や価値観に届きやすいため、近年ますます注目されています。
組織の強さは、社員一人ひとりが企業理念に共感し、同じ方向に向かって歩めるかどうかにかかっています。まずは、「共感」を起点にしたインナーブランディングの設計から始め、企業のブランド価値とエンゲージメントを高めることが、これからの時代の持続的成長を支える基盤となるでしょう。
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