出光興産は1911(明治44)年の創業以来、理念を大事にしてきた会社です。理念の実践を通じて社員が成長し、社会に貢献するという考えが受け継がれてきました。
2019年に昭和シェル石油と経営統合するにあたり、出光興産が理念を大事にしている会社であることは昭和シェル石油側も大変気にしており、理念を押し付けられるのではないかとの警戒感もあったようです。そのため、創業者の言葉はあまり表に出しすぎず、機が熟してから両社に共通する企業理念を作ろうということになりました。
そして2021年頃、社員から「やはり共通の目標がないとビジョンや方向性を語り合う際にはがゆい、進めにくい」という声が上がったため、企業理念を制定しました。このような経緯で生まれたのが「真に働く」です。
まずは、理念に対してネガティブな感情を持っている社員にアプローチしたい、理念について議論するきっかけにしたいという想いがありました。そこで、マンガでは主人公に「理念なんか必要なの」「なんでこんな内容なんだ」などと言わせ、他のキャラクターに「実はこんな理由なんだよ」と言ってもらう構成にしました。
大変だったというか、時間をかけた部分はストーリーを約10話分のボリュームを出すこと、ストーリーの方向性、キャラクター付けなどです。
トレンド・プロさんはシナリオやネームの段階からクオリティが高く、スピーディーに対応してくれましたし、ストーリーに行き詰まっていたときに相談した際には的確な提案をしてくださるなど、きめ細かい対応にとても満足しています。
ーマンガの反響はいかがでしたか?社員の方からの声などがございましたらぜひお聞かせください。
マンガは国内約11000人の出光グループの社員と関係者が閲覧できるグループ報に掲載しています。「なんでマンガなんか……」のようなネガティブな声はなく、「マンガ、いいよね」という声がほとんどです。また、他部の方からマンガを活用したコンテンツを作るためにはどうしたらよいかと相談を受けることもあります。
実際にマンガを読んでくれる社員も多くいます。グループ報は閲覧者が1000ユーザーを超える記事は月1~2本ですが、理念マンガの第1話は約4400ユーザーを獲得しました。これはグループ報のコンテンツの中でもトップクラスです。その後の話もコンスタントに1000ユーザー以上に閲覧されています。
また、グループ報には自由にコメントをつけられる機能があり、理念マンガのコメントの中には称賛だけではなく「私はこうは思わない」という批判の声もありますが、賛否両論の議論が活発に交わされることも狙っていたので、いいことだと捉えています。
ー今後のマンガ活用についてはどのようにお考えでしょうか?
現在は社外の方、特に取引先など社外の方に当社の歴史を知ってもらおうと、「出光の歴史」をテーマにしたマンガを3カ月に1回発行している広報誌に連載しています。こちらは約20000部を配布しています。
こちらに関してはまだ社内の声しか把握できていませんが、理解しやすい、読みやすいと好評です。歴史は文章にするとどうしても長くなってしまうので、一回につき4〜5Pの漫画にまとめてくれるのは大変ありがたいです。
また、出光の理念マンガも第二弾を社内で提案しています。今度は事業部が理念を理解し、どう実践するかという内容を各事業部で議論してもらい、その内容をマンガにしようという試みです。マンガの内容を考えるプロセスを経ることで、理念についてより深く考えてもらえるのではと期待しています。
今後もその使命を果たしながら、カーボンニュートラル・循環型社会に貢献する新しいエネルギーや素材、ソリューションを社会実装していきます。
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