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「顧客体験価値」とは?企業が今こそ注目すべき理由

企業は日々さまざまな商品やサービスを生み出し、市場に提供しています。これまでは、商品の品質を高め、競合他社・競合サービスと価格競争を行うことが企業活動の中心と考えられてきました。その一例として、大手スーパーチェーン・ダイエーには「よい品をどんどん安く、より豊かな社会を」という企業理念があります。この理念はダイエーだけでなく、高度経済成長期から多くの企業にて続いてきた企業戦略の基本の一つです。


しかし、現代の消費者は単に品質や価格だけで商品やサービスを選んでいるわけではありません。むしろ、「その商品やサービスを通じて、どのような体験ができるのか」という視点を重視する傾向が強まっています。つまり、商品やサービスのよさ・安さではなく、「体験」という付加価値が消費者の購買行動を大きく左右するようになったのです。


このような変化を背景に、ビジネス界では「顧客体験価値(CX:Customer Experience Value)」という概念が注目を集めています。企業がCXを重視することで、競合との差別化を図ることができるだけでなく、顧客満足度やブランドロイヤルティの向上にもつながります。


今回は、今なぜ顧客体験価値が重要なのか、その定義や背景、顧客体験価値を高めるために企業はどのようなことに取り組むべきかについて解説します。



顧客体験価値とは?


まず、顧客体験価値とは具体的に何を指すのかを確認しましょう。


顧客体験価値とは、顧客が商品やサービスとの全ての接点で感じる体験を指します。つまり、商品やサービスを知り、出会い、購入し、使用する過程、さらには使用後のサポートやフォローアップ、そして商品やサービスを廃棄、解約するまでが含まれます。


ここで注意したいことは、顧客体験価値とはただ単に「買ったものがよかった」「安かった」というだけでなく、その商品やサービスを通じて得られる精神的な満足や総合的な印象も含まれる点です。


例えば、ある消費者がカフェでコーヒーを購入したとします。その際の顧客体験価値は、単に「コーヒーがおいしかった」「安かった」というものだけではありません。この場合、顧客体験価値とは店内の雰囲気や店員の接客態度、注文から提供までのスムーズさ、支払い方法の便利さ、SNSに投稿したくなるようなインテリアやメニューなどのさまざまな要素が複合的に重なった結果として生み出されています。


このように、顧客体験価値はいわゆる「カスタマージャーニー」の全体にわたって発生します。カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知・検討・購入・利用、さらに再購入・他者への推奨などへ至るまでの一連の行動・心理プロセスを指します。


企業はカスタマージャーニーの各タッチポイント(顧客との接点)において、顧客にとっていかにポジティブな体験を提供できるかが重要です。例え一カ所であっても、タッチポイントで消費者がネガティブな体験をすると、商品やサービスはもちろんのこと、それらを提供する会社への印象が悪くなります。そして、最終的には顧客離れにつながる可能性すらあります。


このような理由から、企業が顧客体験価値を高めるための取り組みは、場当たり的なものではなく繊細かつ戦略的である必要があります。



顧客体験価値が注目される背景

では、なぜ今、顧客体験価値が注目されているのでしょうか。その背景には、社会や消費者行動の大きな変化があります。ここでは主な3つの要素を取り上げて説明します。


①顧客ニーズの変化(モノ消費からコト消費へ)


高度経済成長期から21世紀初頭くらいまでの消費者は「よいモノを所有すること」「よいモノを安い価格で購入すること」に価値を見出していました。しかし近年、SNSが発達したり、多様な価値観・ライフスタイルが浸透したりといった現象が起こったことで、モノ自体よりもモノを通じて得られる体験・思い出に重きを置く傾向が強くなりつつあります。この現象は「モノ消費からコト消費へ」と呼ばれています。
このような価値観の変化に対応するためには、単にモノを安く売るだけではなく、商品やサービスの背景にある「物語」や「体験」を設計し、それを顧客に伝えることが求められます。


②SNSやレビューの影響力


SNSや口コミサイトが発達したことにより、消費者が体験したことをリアルタイムで世界中に発信できるようになりました。これは、一人の顧客が感じたことが瞬時に広範囲へ拡散し、ブランドイメージに大きな影響を与えることを意味しています。
そのため、企業にとっては「すべての顧客接点において期待を超える体験を提供すること」がこれまで以上に重要になっています。たった一件のクレーム投稿や悪いレビューが、ブランドに深刻なダメージを与えます。反対に、素晴らしい体験が拡散されれば、大きな宣伝効果が得られる可能性もあります。
SNS時代においては、顧客体験そのものがマーケティングの武器になっているといっても過言ではありません。


③サブスクリプション型サービスやD2Cモデルの広がり


サブスクリプション型サービスや、D2Cモデル(Direct to Consumer、メーカーが直接消費者に販売する販売方式)が浸透したことで、企業と顧客との関係は「一度きりの売買」から「継続的な関係性」に変化しつつあります。
例えば、音楽配信サービスや動画配信サービスでは、契約後もユーザーに継続して満足してもらうために、使いやすいインターフェースやパーソナライズされたおすすめ機能を提供しています。顧客はサービスに不満を感じれば簡単に解約できるため、常に高い顧客体験価値を維持することが求められます。
長期的な顧客関係を築くためにも、顧客体験価値を高め続けることは不可欠な要素です。




現代において、企業が顧客体験価値を向上させることは企業の成長に必須であるといえます。機能の充実や価格競争が限界を迎える中で、企業は「いかに顧客に優れた体験を提供するか」という視点を持つことが、持続的な競争優位性の確立に直結します。


それでは、顧客体験価値を高めるためには何から始めるべきでしょうか?方法はさまざまですが、一例として以下のステップを紹介します。


 1.現状の課題、顧客の意見・クレームなどを収集する
 2.顧客データなどから顧客のペルソナを把握する
 3.現状の顧客接点を洗い出し、カスタマージャーニーを把握する
 4.以上をもとに具体的な施策に落とし込む
 5.PDCAサイクルを回す


これからの時代、モノや価格だけでなく、体験そのものをデザインする視点を持つことが、企業の未来を左右する鍵となるでしょう。


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