
社員に響く企業理念の伝え方:理念浸透のために経営陣がやるべき5つのこと
多くの企業には「企業理念」が存在します。そしておそらく、企業で働く方の多くは「企業理念は重要だ」と考えるでしょう。
しかし、企業理念が制定されていることと、それが社員に浸透しているかは全く別のものです。実際、企業を対象としたあるアンケートによると「企業理念を浸透させることは重要だ」という回答は7割に上る一方で、「企業理念を理解している」という回答は4割に止まるという結果があるほどです。
※参考:2019年 エニワン株式会社 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000041194.html
それでは、なぜ多くの企業で理念浸透が進まないのでしょうか?その背景には「伝えること」と「根づかせること」の違いを理解していないケースが多く見られます。企業理念は制定するだけでなく、社員が共感し自らの行動に落とし込まなければ意味がありません。そしてそれには、経営陣の言動が重要な役割を果たします。
この記事では、企業理念を組織に浸透させ、社員が企業理念に基づいて行動するために経営陣が実践すべき5つのことを紹介します。
企業理念浸透がもたらす3つのメリット
まず、企業理念が社員に浸透するとどんなメリットがあるのか確認します。
■社員のエンゲージメント向上
企業の目的や存在意義を示すことで、社員は「自分の仕事が大きな目標につながっている」と感じ、使命感を持って仕事に取り組めます。社員が、自身が会社や社会に貢献していると実感できれば、モチベーションも向上します。エンゲージメントも高まり、社員が主体性に行動することにもつながります。
企業理念が浸透すると、社員は「自分はなぜこの仕事をしているのか」「自分の業務はどんなことにつながっているのか」を理解します。そして、仕事が単なる作業ではなくなり、主体的な行動が生まれます。
■組織の一体感と方向性の共有
組織が大きくなるにつれ、部門ごとの価値観目的、判断基準のばらつきなどが生じる可能性が高まります。しかし、明確な企業理念が共有されていれば、全ての社員が同じ方向を向き、同じ判断基準に基づいて行動できます。このように、企業理念は社員・組織を一つにまとめるための軸として機能します。
■採用・ブランド力への波及効果
企業理念が社内に浸透し、社員がそれに従って主体的に行動し業績を生み出している企業は、外部から見ても魅力的に感じられます。そして「この会社の考え方に共感した」「私もこの考え方を持っているので、一緒に働きたい」という動機を持つ求職者が現れます。
このような求職者は入社後のギャップも少なく、早期離職のリスクも抑えられます。また、理念を軸にした広報・採用に関する発信は、顧客との信頼構築やブランド価値の向上にもつながります。
経営陣が企業理念浸透のためにすべき5つのこと
企業理念を社内に浸透させられるかどうかは、経営陣の姿勢や言動が重要な役割を果たします。ここからは、経営層が主導して取り組むべき5つの方法を紹介します。
■経営トップが自ら語る(繰り返し・具体的に)
企業理念は、経営陣の価値観や思いを明文化したものです。だからこそ、経営陣自身がその言葉についてどれだけ熱を込めて語れるかが問われます。全社会議や朝礼などの場面で、経営陣が率先して企業理念を語りましょう。近年では、このようなメッセージを動画にして社員がいつでも見られるようにするというアイデアも採用されていることが多いです。
ここで重要なのは「企業理念は一度伝えただけでは伝わらない」ことです。何度も・具体的に・情熱的に語ることで、企業理念は社員の中に少しずつ浸透していきます。このような経営陣のはたらきを続けることで、企業理念が社員にとって当たり前のものとなるのです。
■企業理念を「ストーリー化」する
企業理念の背景には創業時の思いや背景、未来へのビジョンなどの「ストーリー」があります。そして、このストーリーは企業理念浸透に重要な役割を果たします。ある研究結果によると、人はストーリーがあることで事実を目の当たりにするよりも最大で22倍記憶に残りやすくなるそうです。
※参考:https://womensleadership.stanford.edu/node/796/harnessing-power-stories
例えば、創業者がどんな思いで事業を立ち上げたのか、どんな経験をして社会にどんな価値を提供したいと考えているのかなどのストーリーを語ることで、社員は心を動かされ、理念を受け入れやすくなります。
また、ストーリーは言葉や文章だけでなく、絵や写真など視覚に訴えると記憶しやすい傾向があります。そのため、マンガや動画などの形式でストーリーを伝えるという方法もオススメです。
■日常業務と結びつける仕組みをつくる
企業理念が優れたものであっても、それが日常業務と切り離されていると、社員は「私には関係ない」と捉えられてしまうかもしれません。これを防ぐためには、企業理念を評価制度や日常業務プロセスなどに組み込むことが重要です。
例えば評価制度に理念に基づいた行動指針を加える、会議の場面で理念を読み上げる、社内報に理念に関する実例を掲載するなどの方法があります。日々の業務において「理念に照らしてどう考えるか」が自然と問われる環境を整えることで、理念浸透が進み、理念が行動の土台として定着します。
■社員の声を巻き込む・双方向にする
企業理念浸透は「上からの押し付け」では機能しません。社員一人ひとりが企業理念を解釈し、自分の言葉で語れる状態が理想です。そのためには双方向のコミュニケーションの場が欠かせません。
例えば、企業理念について語り合うワークショップや1on1ミーティングを開催する、社内SNSで社員が企業理念を体現したエピソードを共有するなど、社員の声を拾い上げる仕組みをつくりましょう。「企業理念についてどう考えるか」を聞かれる場があることで、社員は理念を意識し始めます。
■社内コミュニケーションを「体験」に変える
企業理念は言葉で理解するだけではなく、体験として感じてもらうことが何より重要です。企業理念に沿った行動を表彰する制度や企業理念をテーマにした社内イベントなどを通じて、社員が企業理念を体感できる機会をつくりましょう。
また、企業理念に基づいた行動が組織に良い影響を与えたリアルなエピソードを社内で共有することも効果的です。身近な社員が企業理念を体現している姿を見れば、他の社員にもポジティブな影響が波及します。
企業理念は、単に存在していればよいというものではありません。それをどのように伝え、社員の行動や文化として根づかせるかが、企業の成長と持続性に大きく影響します。企業理念を浸透させるためには、経営陣の熱意と継続的な仕組みが不可欠です。
経営陣は理念を語り続けることを恐れず繰り返し語り、ストーリーを提示し、制度と結びつけること、社員の声を聞くこと、そして体験の場をつくること。これら5つのアクションを積み重ねていくことで、理念は次第に社員に浸透し、組織文化が形成されます。
お問い合わせはこちら:https://ad-manga.com/contact