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BtoBビジネスにおける「顧客体験価値」の考え方と実践アプローチ


近年、BtoBビジネスの現場において顧客体験価値(CX)の重要性が急速に高まっています。BtoB取引は、営業、契約、導入、サポートなど多くの接点で構成され、取引関係が長期化する傾向があります。だからこそ、これらの全てのフェーズにおいて「優れた体験」を提供することで、選ばれ続ける企業となれる可能性を高めることができるのです。


今回は、BtoBにおけるCXの考え方とその実践的なアプローチについて、事例を交えて解説します。


顧客体験価値(CX)とは?BtoB視点での定義


CXは、顧客が製品やサービスに関わるあらゆる接点で感じる体験全体のことを指します。単なる満足度や好感度ではなく、認知から検討、購入、利用、サポートに至るまでの一連の流れにおける「総合的な価値」がCXです。


BtoBビジネスにおいては、以下の3つの特徴がCX設計において重要な意味を持ちます。


▷長期的な取引関係を構築する必要がある


BtoBのビジネスで提供しているサービスや商品は単発の購入ではなく、年間契約や継続利用が前提のものが多く存在します。そのため、顧客との長期的な関係性の中で信頼を醸成していく必要があります。


▷複数の意思決定者が存在する


BtoBビジネスでは、購買に関与する人数が多くなる傾向があります。また、彼らの役職や部門も多岐にわたります。必然的に意思決定プロセスが複雑化することから、それぞれの立場に応じた体験の最適化が求められます。


▷高度な導入・カスタマイズを必要とする


BtoCサービスやソリューションの導入には、顧客ごとの要件定義や個別対応が発生しやすいという特徴があります。そのため、どんなサービスやサポートを提供できたか、どのように満足してもらえたかがCXに直結します。


なぜ今、BtoBでCXが注目されるのか?

BtoBにおけるCXへの注目が高まっている背景には、次のような構造的変化があります。


▶︎既存顧客の維持が成長の鍵だから


新規顧客の獲得には高いコストがかかる一方で、既存顧客を維持・拡大するためのコストは比較的低い傾向があります。そのため、既存顧客を維持・拡大することは、LTVを最大化させることが可能です。
CXを向上させ、ロイヤルティの高い顧客を育てることは、BtoB企業の持続的成長に不可欠です。


※LTV…LIfe Time Value、顧客生涯価値とも。顧客が企業と取引を開始してから終了するまでの間に、企業にもたらす利益の総額を指す。


▶︎顧客主導の購買行動が増加しているから


デジタル化の進展により、顧客は自ら情報収集を行い、比較・検討する傾向が強まっています。営業担当者が接触する以前に、すでに印象や判断が形成されているケースも少なくありません。

オンライン上のCXが購買に直結する時代において、あらゆる接点で高い体験価値を提供することが求められています。


▶︎差別化要素としての「体験価値」が重視されているから


技術や価格での差別化が難しい市場において、顧客が「またこのサービス/商品を使いたい」と思うかは、体験価値に大きく左右されます。製品のスペックや価格以上に、問い合わせ対応の丁寧さ、導入支援の手厚さ、トラブル時のスピーディな対応などから得られる満足が、競争力を高めます。


BtoBにおけるCXの主要接点

BtoBでは、以下のようなフェーズごとに異なる顧客体験が発生します。それぞれの接点で、どれだけシームレスかつストレスのない体験を提供できるかがCXの鍵を握ります。


1.営業フェーズ


■レスポンスの速さと丁寧さ


初回の問い合わせへの返答が迅速で、なおかつパーソナルな対応ができると、顧客は「期待に応えてくれる企業だ」と感じやすくなります。


■顧客課題を的確に捉えた提案



顧客の業種・課題・目標に応じた提案書を提示し、顧客が「自社のことを理解してくれている」と思うような、質の高い提案をする必要があります。


■押し売りではない共創的な姿勢


ヒアリングを重視し、顧客とともに最適解を探すスタンスが求められます。「この会社はパートナーとして並走してくれる」と感じられる体験が、意思決定を後押しします。


2.契約・オンボーディング


■契約手続きのシンプルさ・透明さ


わかりやすく、スムーズに手続きできることが理想的です。不明点に対する丁寧な説明があると、安心して締結に進めます。


■キックオフミーティングによる期待値のすり合わせ


導入目的・体制・役割分担などを共有することで、「何をどこまでやってくれるのか」が明確になり、顧客の不安が払拭されます。


■オンボーディング支援の充実


導入支援マニュアルや専任担当の伴走により、顧客が迷わずプロジェクトを進められる体験が提供されると、CXは飛躍的に高まります。特に非IT系企業には、手厚い導入サポートが決め手になります。


3.導入・利用フェーズ


■わかりやすいトレーニングとコンテンツ提供


操作マニュアルだけでなく、動画やウェビナー、FAQなどさまざまな学習スタイルを提供できるとよいでしょう。


■柔軟なカスタマイズ対応


自社の業務フローにぴったり合うように調整してもらえると、顧客は“自分たちのためのソリューション”と感じられます。


■定着支援の仕組み


導入初期から定期的なチェックインミーティングや利用状況レポートを提供し、活用状況を可視化します。


顧客体験価値向上の成功事例

実際に、顧客体験価値を向上させることに成功しているBtoB企業の例を紹介します。

Sansan株式会社



名刺管理サービスから営業DXサービス企業へと進化を続けるSansanは、導入フェーズにおける顧客体験を最重視しています。カスタマーサクセス担当が専任でオンボーディングを支援し、初期フェーズにおけるサービスの定着をサポート。利用開始後3カ月以内の活用度が高まり、解約率を下げることに成功しています。


株式会社SmartHR



クラウド人事労務サービスを提供するSmartHRでは、カスタマーサクセスの立場から「活用され続ける体験」を設計しています。導入前から業務課題を丁寧にヒアリングし、導入後もデータ分析や定期提案を行い、顧客の価値実感を可視化。アップセルやクロスセルにもつながっています。


GMO ReTech株式会社



不動産業界におけるDXを進める「オーナーアプリ」を紹介するマンガを制作し、DMで送付。
“アプリの導入で何が解決できるかわからない” “運用イメージが付かない”といった方向けに、視覚的にわかりやすく、かつ短時間で内容を理解できるマンガという手段でアプローチしました。
マンガは不動産業界あるあるを盛り込んだストーリー仕立てになっています。

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アステリア株式会社



複数のノーコード開発プラットフォームを提供するアステリアは、競合との機能差が小さい中で「サポート体験」で顧客満足度を向上させています。


例えば、ユーザー同士が製品活用のノウハウを共有するコミュニティ「Asteria Park」の開設、同社サービス「ASTERIA Warp」を導入する企業向けに、設計・実装・運用までを一貫体制で支援するサービスなどがあります。ユーザー同士のコミュニティとプロによる支援を組み合わせ、顧客が自走して製品を活用できる環境づくりを行っています。



BtoBにおけるCXは単なる「サービスの一部」ではなく、営業から契約、導入、サポートに至るまで、すべての接点に影響を与える経営の中核的要素です。多様な関係者が関わり、長期的なパートナーシップが求められるBtoBだからこそ、一貫した体験設計が顧客との信頼構築、ロイヤルティ向上、そして価格競争からの脱却につながります。


選ばれる理由は「モノ」から「体験」へとシフトしつつある今、BtoB企業にこそ、CXへの投資が求められる時代です。


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