
変化に強い組織をつくるインナーブランディング|価値観共有が生む一体感
1. 変化の激しい時代に求められる組織力
市場環境の変化、テクノロジーの進化、働き方の多様化……。企業を取り巻く環境は、これまで以上に不確実性を増しています。こうした時代において競争力の源泉となるのは、単なる戦略や制度だけではありません。それは、「変化に柔軟に対応できる組織力」そのものです。
しかし、組織改革や再編成、事業転換、M&Aなどの変革フェーズでは、社員の価値観や行動基準が揺らぎやすくなります。「何を優先すべきか」「どの判断が正しいのか」が人によって異なるため、意思決定が遅れたり、現場に混乱が生じたりするケースも少なくありません。
こうした課題に対して、近年あらためて注目されているのが「インナーブランディング」です。企業の理念や価値観を社員と共有し、組織としての一体感を醸成することで、環境変化にもブレない強い組織をつくる。インナーブランディングは、そのための重要な経営アプローチといえます。
本記事では、変化に強い組織を実現するためのインナーブランディングの意義と効果、価値観共有が生む一体感のメカニズム、そして具体的な実践ステップを解説します。
2.インナーブランディングの意義と効果

インナーブランディングとは、企業理念や価値観を社員一人ひとりに浸透させ、自発的な行動につなげるための仕組みです。単に理念を掲げたり、スローガンを周知したりすることが目的ではありません。社員自身が理念を理解し、「自分はどう行動すべきか」を判断できる状態をつくることが本質です。
インナーブランディングが機能すると、組織は環境変化に対してしなやかに適応できるようになります。不確実性の高い局面においても、個々の社員が共通の価値観を軸に判断できるため、組織全体としての意思決定の質とスピードが向上します。
変化に強い組織になることで、具体的には次のような効果が期待できます。
2-1.組織内の意思統一と迅速な意思決定
共通の価値観が浸透している組織では、「この判断は自社らしいかどうか」という軸で意思決定が行われます。その結果、細かなルールに頼らなくても、現場レベルでスピーディーな判断が可能になります。
2-2.社員の自律的な行動促進
価値観を理解している社員は、指示を待つのではなく、自ら考えて動くようになります。これは、変化の激しい環境下において極めて重要な要素です。
2-3.再構築・変革フェーズでもブレない組織文化の形成
事業内容や戦略が変わっても、「私たちは何を大切にする組織なのか」という軸が共有されていれば、組織は一体感を保ったまま前進できます。
インナーブランディング成功の鍵は、理念や価値観を「知っている」状態で終わらせず、社員が自分ごととして理解・共感できているかにあります。
3.価値観共有が生む一体感のメカニズム
組織の一体感は、制度やルールによって生まれるものではありません。その土台となるのが、「共感」です。社員が企業理念や価値観に共感し、それを自らの行動や判断の基準として使い始めたとき、組織は初めて「一体」となります。
価値観共有を促進するために重要なのは、次の3つのアプローチです。
3-1. 理念や価値観のストーリー化
抽象的な言葉だけでは、理念はなかなか伝わりません。理念が生まれた背景、創業者の想い、過去の意思決定エピソードなどを物語として伝えることで、社員は感情レベルで理解できるようになります。
3-2.体験型研修やワークショップによる自分ごと化
理念を「聞く」「読む」だけでなく、自分の仕事や過去の経験と結びつけて考える場を設けることで、価値観は初めて行動レベルに落とし込まれます。
3-3.双方向コミュニケーション
一方的に理念を押し付けるのではなく、社員の意見やフィードバックを取り入れることが不可欠です。対話を通じて価値観が更新・共有されることで、共感は組織全体へと広がっていきます。
このプロセスを経ることで、社員の行動と組織の価値観が自然と一致し、強い一体感が生まれます。
4. 実践ステップ:変化に強い組織をつくるインナーブランディング
それでは、変化に強い組織をつくるインナーブランディングを実践するための具体的なステップを紹介します。
ステップ1:理念・価値観の「見える化」
理念や価値観は抽象的になりがちです。そのままでは理解に差が生まれてしまいます。
そこで有効なのが、マンガや動画、ビジュアル資料などを活用した「見える化」です。
例えば、理念をマンガ化して社内報や研修で展開することで、若手社員や新入社員でも直感的に理解しやすくなります。言葉だけに頼らない表現は、共感形成を大きく後押しします。
ステップ2:体験型施策で自分ごと化
次に重要なのが、ワークショップやケーススタディです。「この理念を、あなたの業務ではどう体現しますか?」といった問いを通じて、社員自身が考える場を設けます。
インナーブランディングは、理解よりも「行動に結びついているか」が重要です。体験型施策は、その橋渡しとなります。
ステップ3:双方向コミュニケーションで共感を拡張
社内SNSやディスカッションの場を活用し、理念に基づいた行動事例を共有することも効果的です。「この判断は自社の価値観に沿っていた」といった成功体験が共有されることで、共感は連鎖的に広がっていきます。
ステップ4:定期的な振り返りと改善
インナーブランディングは一度実施して終わりではありません。社員アンケートや行動指標を用いて効果を測定し、施策を改善し続けることで、理念は組織文化として定着していきます。
5.成功事例:変化に強い組織を実現した企業
ここでは、実際にインナーブランディングを通じて変化に強い組織を実現している事例を紹介します。
5-1. 伊藤超短波株式会社(メーカー)

医療機器メーカー・伊藤超短波は「健康に携わる企業として、我々がまず健康にならなければいけない」という思いから、2018年から「健康経営」にまつわる施策に取り組んでいます。具体的には、健康診断オプションや定期歯科健診費用への補助、社員の禁煙サポート、マラソン大会への参加費の補助などを行った結果、2019年から5年連続で健康経営優良法人に認定されています。現在は大手企業との連携、DX化、新ブランド開発などに乗り出しており、さらなるビジネスの拡大が期待されます。
5-2. サイボウズ株式会社(ITサービス)

サイボウズはかつて「100人いれば100通りの働き方」というキャッチフレーズを掲げ、文字通り社員一人ひとりの事情に寄り添った働き方の実現や制度設計を行っていました。その目的は、企業競争力の強化のためであったといいます。同社はこれらにより離職率が約28% → 約4%へと改善され、中途・新卒応募数が増加し採用力が向上したなどの効果が得られたそうです。
現在このフレーズは「100人100通りのマッチング」というものに変更され、各社員は「どんな働き方をしたいのか」「それによってどんなアウトプットを出せるのか」を考えた上で、チームから求められる役割と合致した場合にマッチングが成立するという制度になっています。
6.まとめ:価値観の共有が変化に強い組織をつくる
変化の激しい時代において、組織力の源泉は社員一人ひとりの共感と自律的な行動にあります。インナーブランディングは、理念や価値観を組織に浸透させ、一体感を生むための最も有効な手段です。
成功企業の事例からも分かるように、理念の物語化、体験型施策、双方向コミュニケーションは欠かせません。さらに、マンガや動画などで価値観を可視化することで、理解と共感はより深まります。
インナーブランディングを通じて価値観を共有できた組織は、環境変化にも揺るがない強さを手に入れることができるのです。
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