【タッチ選びのポイント】大ヒットアニメ映画の共通点!
こんにちは! 戒能です。
今回は、漫画のタッチ(絵柄)について説明します。
漫画を作るうえで、タッチ(絵柄)選びはストーリー作りと同じくらい重要!
そして、より高い効果を得たいのならば、ターゲットの年齢層や職業、性別などを見極めて選ぶ必要があります。
さて、ターゲットが「老若男女、全員!」という場合はどうでしょうか?
どのようなタッチを選べばいいか悩ましいですよね。
「読者を選ばないタッチ、幅広い層に好まれるタッチってどんなの?」
そんな皆様の疑問にお答えすべく、今回は、皆に好かれる「万人受けタッチ」についてご説明します!
万人受けタッチは〇〇を見ればわかる…!?
そもそも「万人受けタッチ」とはどのようなものなのでしょうか?
その答えはズバリ「アニメ映画」にあります。
「となりのトトロ」「サマーウォーズ」「君の名は。」などなど、
大人も子供も大好きなアニメ映画ってありますよね。
大衆向けのアニメ映画は、幅広い層の人気を狙ってタッチも考えられています。
したがって、ヒット作のアニメ映画の絵柄を見ると
「万人受けタッチ」の秘密が分かります。
──ということで、ここ20年のヒットしたアニメ作品を調べてみました。
公開年 | タイトル | 監督(製作会社) | 興行収入(億円) |
2001年 | 千と千尋の神隠し | 宮崎駿(スタジオジブリ) | 308 |
2002年 | 猫の恩返し | 森田宏幸(スタジオジブリ) | 64.6 |
2004年 | ハウルの動く城 | 宮崎駿(スタジオジブリ) | 196 |
2006年 | ブレイブ ストーリー | 千明孝一(GONZO) | 20 |
2006年 | ゲド戦記 | 宮崎吾朗(スタジオジブリ) | 76.5 |
2012年 | おおかみこどもの雨と雪 | 細田守(スタジオ地図) | 42.2 |
2015年 | バケモノの子 | 細田守(スタジオ地図) | 58.5 |
2016年 | 君の名は。 | 新海誠 | 250 |
2016年 | 聲の形 | 山田尚子(京都アニメーション) | 23 |
2017年 | 打ち上げ花火、下から見るか 横から見るか | 新房昭之(シャフト) | 15 |
出典 一般社団法人日本映画製作者連盟 <http://www.eiren.org/toukei/index.html>
Wow!懐かしい!!
このレベルのヒット作となると、普段アニメやマンガを見ない方でもご存知なのではないでしょうか。では、これらの作品がどのようなタッチ(絵)だったのかを見てみましょう。
「あれ?なんか似てる…」という印象を受けませんか?
そうです!これらの絵には、いくつかの共通点があるのです。
万人受けタッチの条件
万人受けタッチの条件、それは「クセがない」ことです。
ちなみに、有名なマンガのタッチは
「シルエットだけでキャラクターが分かる」
と言われるほど、リアリティーよりも個性を優先させています。
そういえば、『ドラゴンボール』や『ワンピース』などは、
髪型や体つきなどが特徴的で、シルエットを見ただけで
キャラクターが分かりますよね。
万人受けタッチに話を戻しましょう。
先ほど挙げたアニメ映画のヒット作品には、そういった特徴はありません(それが逆に特徴となっています)。
「クセがない」とはどういうことかというと、
具体的には以下の3つの要素が挙げられます。
①線がシンプル(線の数が少ない、線が太すぎず細すぎない)
②目の中に「ハイライト1点」と「瞳孔」以外の描き込がない
③人物のシルエットが、現実のものに近い
タッチの補足的な要素にもなりますが、
アニメといえば、ほとんどがカラーの作品ですよね。
その際の色の塗り方──「着色」も、絵の雰囲気を左右する要素となります。
じつは、マンガの色の塗り方にはいくつか種類があって、
水彩塗り、厚塗り、アニメ塗り、ゲーム塗りなどに分けられます。
上述したアニメ映画のヒット作品はすべて、
オーソドックスな「アニメ塗り」です
(まあ、アニメなのでアニメ塗りなのは当然ですが……)。
「アニメ塗り」とは、次のような特徴を持ったものです。
・「パキッ」とした鮮やかな着色
・色の境界がはっきりしている
・影をぼかさない
セル画の着彩法として広く使われたことから「アニメ塗り」と呼ばれるようになりました。
アート路線のアニメ作品では
あえて水彩画のような淡い色合いにしたり、
トーンを下げた暗めの着色をしたりして、
意図的に独特な雰囲気を出すこともありますが、
幅広い層をターゲットとしている作品は、着色でもクセのない
オーソドックスな塗り方をしています。
活用されている「万人受けタッチ」
確かに、書店等で並んでいるビジネスコミックを見てみると、
上記共通点を持った「万人受けタッチ」が活用されているのが分かります。
その他にも、若い人からご年配の方まで幅広く読まれる官公庁様の資料や、親子で読んでほしい塾の広告も「万人受けタッチ」です。
<最高裁判所様>
<ジャストシステム様>