ミドリムシで企業広報賞⁉︎ 伊藤忠と歩んだサクセスストーリー
あなたは「企業広報賞」を知っていますか?
企業広報賞は、優れた企業広報を実践している企業や個人に贈られます。経済広報センター(日本経済団体連合会の広報機関)によって1984年に創設されました。
2015年、その企業広報賞の1つ「企業広報経営者賞」に選ばれたのは、言わずと知れた総合商社、伊藤忠商事の社長、そしてもう一人はベンチャー企業、ユーグレナの社長です。
株式会社ユーグレナが商品として扱うのは、中学校の理科の教科書にも載っている、
あの「ミドリムシ」です。
ユーグレナが伊藤忠と共に歩んだサクセスストーリーが企業広報として大きな影響力を持ったことが「企業広報経営者賞」の受賞に至りました。
企業広報賞に選ばれた、ユーグレナの成功物語とは、、、?
すごいぞミドリムシ!!
「ミドリムシを扱う会社…?ミドリムシって何の役に立つんだ…?」
そう思った方も多いのではないでしょうか。
体長約0.03mm~0.05mm、顕微鏡を使わなければ見えないほど小さなミドリムシですが、世界の「食料問題、エネルギー問題、環境問題」を一気に解決できるポテンシャルを秘めていると言われています。
植物と動物の両方の性質を持つミドリムシは、人間の生活に必要なほぼ全ての栄養をカバーできる59種類もの栄養素を蓄えています。
「次世代エネルギー」であるバイオ燃料としての活用法も研究され、光合成による地球温暖化問題の改善も期待されています。
しかし、いずれの活用法も大量培養ができなければ事業として成立しません。
ミドリムシの培養研究には長い歴史がありますが、これまで世界中で誰も実現できず、産業として成り立つのは夢のまた夢、という状況でした。
そんな中、ミドリムシの大量培養に世界で初めて成功したのが株式会社ユーグレナだったのです。
しかし「ミドリムシを通して人類の食料問題、エネルギー問題、環境問題を解決したい」という社長の想いはなかなか報われません。
2年間、出資者や提携先を探して奔走しました。
事業計画書を抱え、飛び込み営業も含めて500社に営業に向かいました。
しかし、協力してくれる会社が現れることはありませんでした。
501番目の救世主
「500社行ってダメだったら501社行く」
そんな思いで営業に向かった先が伊藤忠商事でした。
伊藤忠は、500社が相手にしなかったミドリムシに将来性を見出し、ユーグレナに手を差しのべました。ユーグレナへの出資を決定します。
すると「あの伊藤忠が評価している」と次々に提携先が現れ、今では食品、化粧品、飼料などに加工されたミドリムシ製品が販売されています。
ミドリムシ製品はネットやテレビ、口コミ等で着実にファンを増やし、世間で健康志向が高まるなか「ミドリムシ=健康によさそう」というイメージを抱く消費者も年々増えています。
このようなユーグレナの成功物語を聞くと、ミドリムシ製品を見たとき、一緒にいる人に話したくなったりしませんか?
伝えたくなる「ストーリー」
日常会話は
「〇〇さんが〜したら〜になっちゃって…」というように、
「ストーリー」で語られることが多いですよね。
ストーリーには人に伝えたくなる魅力があり、広告・ブランディングの手段としても広く活用されています。
例えば、今回のミドリムシの物語では、
「ミドリムシって動物と植物の両方の性質があるから、食べると両方の栄養素を摂取できるんだよ」
「ミドリムシを世界で初めて大量培養できたのは日本人なんだよ」
「でも最初は全然売れなくて、伊藤忠が出資したことで一気に注目されるようになったんだよ」
このような話題で口コミの輪が広がったことがミドリムシや伊藤忠のPRとして反響を呼び「企業広報賞」に繋がりました。
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