
企業理念浸透に効く「ストーリーテリング」活用法〜感情を動かす伝え方とは?〜
企業の存在意義や行動指針を示す「企業理念」は、経営者やリーダーの想いが込められた重要なメッセージです。しかし、それが社内にきちんと伝わり、共感され、日々の行動にまで落とし込まれている企業はどれほどあるでしょうか?
「当社では、企業理念は社員全員に共有されています」と語る経営者やリーダーは少なくありません。しかし、社員一人ひとりに「その理念を、具体的にどんな行動に結びつけていますか?」と聞くと、うまく言語化できていなかったり、企業理念そのものを思い出せなかったりすることも多いのが実情です。
このギャップを埋める鍵となるのが、「ストーリーテリング」です。これは、理念をただの言葉で終わらせず、社員の「感情」に働きかけ、「共感」や「自分ごと化」へとつなげていく手法として、多くの企業で注目されています。
今回は、ストーリーテリングによる企業理念浸透について、その詳細や成功事例を交えて解説します。
ストーリーテリングとは?
ストーリーテリングとは、事実やメッセージを物語の形式で伝える手法です。主人公の葛藤や成長、困難の克服などの展開を通じて、聞き手の心に訴えかける伝え方であり、古代から人類が感情や知識を共有するために行ってきたコミュニケーション方法の一つです。
科学的な観点からも、ストーリーテリングの効果は証明されています。物語を聞くと、脳内でドーパミンやオキシトシンなどの神経伝達物質が分泌され、記憶の定着や共感反応が強化されることが判明しています。つまり、人は「ただの情報」よりも「ストーリー」から深く影響を受けるのです。
企業理念の伝達も同様です。ただ読み上げるだけでは、社員の心には残りません。しかし、企業理念にまつわるエピソードや、それを体現した社員の実話を通して伝えると、印象は大きく変わります。企業理念が「現実に起こったこと」として描かれるため、自然と共感が生まれるのです。
企業理念浸透におけるストーリーテリングの意義
企業理念浸透において、ストーリーテリングが有効な理由は大きく分けて3つあります。
1.共感を呼び起こし、「自分ごと化」につながる
企業理念を押しつけるのではなく、共感を喚起することで、社員一人ひとりが「自分の行動とどうつながるか」を考えるきっかけになります。企業理念を体現するエピソードを共有することで、「私にもできそう」「こういう場面で理念が生きるのか」と理解が深まります。
2.感情を動かし、行動変容を促す
人は感情によって動く生き物です。企業理念に関するストーリーが心に残れば、「こうありたい」「こう行動しよう」という意識が生まれ、行動変容のきっかけとなります。
3.カルチャー定着・エンゲージメント向上に寄与
企業理念が自然と語られ、社員の間で共有されていくことで、組織文化として定着していきます。また、自分が所属する企業の理念に誇りを持つことは、エンゲージメントの向上にもつながります。
ストーリーテリングを活用した企業事例
ここでは、ストーリーテリングを企業理念浸透に活用している事例を紹介します。
日鉄エンジニアリング株式会社
中期事業計画について、特に入社年次の浅い若手社員や、他部署から異動してきた社員など、計画策定に直接携わることの少なかった社員にも理解を深めてほしいという思いがあった同社。
そこで、中期事業計画を、社員向けにわかりやすく解説する28ページのマンガ冊子を制作しました。
マンガは社内のポータルサイトでも公開され、部門を超えて広く読んでもらえるツールとして活躍。
マンガにはコミカルなキャラクターを登場させ、難しい事柄を面白く紹介。
また、解説をしっかりと設けることで、文章での理解も促しています。
マンガの読後アンケート調査では、「なんとなく理解が深まった 32%」「背景・概要が明確になった 30%」「とても学びになった 25%」と、9割近くが評価する結果になりました。
株式会社リクルートホールディングス
リクルートホールディングスでは、社内報の老舗として有名な「かもめ」を活用することで企業理念浸透を実践。リクルートのバリューを体現した社員や、その社員と良好な関係を築いている顧客との対談など、さなざまなコンテンツで企業理念を「物語」として発信しています。
また、社内報を格納し、キーワードで検索できる「リクルートグループ報WEB」も完備。これがあることで、社員が業務上の課題について悩んでいる時にキーワード検索することで、先輩社員の体験や発言を閲覧できる仕組みになっています。豊富な体験談を横断的に検索できることで、社員が「自分は今、企業理念を体現できているか?」と悩んだ時に参考にしたり、勉強したりできる機会を提供しています。
株式会社フジクラ
光ファイバーや光部品などの製造・販売を手掛けるメーカー・フジクラは2005年の創業120年を機に、企業理念を刷新しました。その新しい企業理念を浸透させるためにとった施策が「絵本の制作」です。
同社はこの絵本を社長の手紙付きで全社員に送付。それだけでなく、各拠点で絵本の読み合わせ会を開催したり、社長自ら各拠点を訪問して企業理念や絵本の紹介を行う方法で、理念の浸透をはかりました。
絵本は、親しみやすい絵と読みやすい文章の組み合わせであり、文章だけの本や資料などと比べて気軽に手に取りやすいという特徴があります。また、ただ本を配布するだけでなく、複数人で読んだり、意見を話し合ったりする機会を持ったことも、よい効果を生んでいるといえるでしょう。
理念浸透×ストーリーテリング 成功のためのポイント
企業理念をストーリーで伝える際、意識したいポイントは次の通りです。
▷実話にこだわること
架空の話を語るよりも、リアルな体験の方が圧倒的に共感されます。
▷感情の揺れを描くこと
単に「〇〇をしました」というだけでなく、ストーリーの中に葛藤・失敗・再起などの感情の動きがあることで、人の心に残るストーリーになります。
▷語り手を特定の人ではなく、多様にすること
経営層だけでなく、現場社員や若手の語りも交えることで、理念が全員に関係のあるものとして機能します。
▷語った後に対話の時間を儲けること
ストーリーは語るだけで終わりではなく、それをきっかけに対話を生み出すことで、浸透力がより高まります。
そのためには、言葉を超えて「感情に届く伝え方」をすること。つまり、ストーリーテリングが重要な役割を果たします。企業理念はストーリーと共に語られることで、親しみやすくなり、理解され、行動につながります。
「理念は、ストーリーやビジュアルで伝えることによって、飛躍的に親しみやすくなる」この視点を持つことで、企業文化の醸成や社員エンゲージメントの向上にもつながっていくでしょう。
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